1巻2話より
王欣太先生コメント
荘丹、成長したな!遠くまで来たな!
という感慨と共に初心が涌き上がってきます!そしてこの時設定した9万里のデスティネーションに向けまっすぐに来ているな、という確認をし、これから「達人伝」を完結させるためにさらに気合を入れねば!と背筋を伸ばしました!
よ――し、やるでえ―――!!!
2巻8話より
王欣太先生コメント
盗跖!なんてったって盗跖ですよ!
「荘子」の中の登場人物で、俺が最初にこれは漫画になるぞ!と確信した大キャラクター。
自分の好きな男の魅力の限りをぶち込んだ天下の大盗!
実は歌舞伎の人気演目ベスト10のほとんどが盗賊が出ているやつなんですよね。
なもんで、盗跖という男がもっと一般的な人気を獲得できたらな――と願うばかりです!
2巻10話より
王欣太先生コメント
ふう~~~~~~
じっちゃんの極意を選んでくれましたか!!
物語を9万里の先へと送る風を立てたシーンでもありますね――。
いやあ――これも感慨深い!
そしてさすがは世界史の先生、この物語が目指す9万里先の地点をもう見抜いておられる!
生徒さんにも「達人伝」を勧め、「キ●●●●」より面白いと力説していただきありがとうございます!!
3巻カバー
王欣太先生コメント
白起を白く美しい造形にしたのは昨今の〝歴史人物イケメン化ブーム〟に便乗したわけでは毛頭ありません。
歴史に刻みつけられた最悪最凶の戦績と釣り合いをとるには、正反対の要素を組み合わせる他ないと直感したからです。(白という純粋を連想させる名もそうです。)
そして白起の物語は今、絶好調連載中!
以後、誰も白起を描く気にさせぬ程に白起を描き切ります!!
3巻13話より
王欣太先生コメント
来た!孟嘗君!
このコマの選択はすっごく嬉しいですね――。
戦国四君については史実の記述に膨らませにくいものが多くその魅力の心髄は自分で想像するしかありません。
四君はそれぞれまったく違うが、皆、時代を動かしたひとりの人間としてどれほどの力を備えた人物であったのかは作者の腕にかかってます。孟嘗君の場合、荘子との出会いは我ながらすげえ――と思えた着想でした。懐し―――。
スタッフからは「ゴンタさんの顔は孟嘗君が一番似てるーっ」って言われてました。
5巻カバー
王欣太先生コメント
まず遠目にもわかる馬上の姿をイメージ→シルエットだけでも格好いい姿形→遠目→見上げる→城壁の上か!→騎馬で城壁の上を駆け次々の敵兵をなぎ倒す→そして一周して帰還!→そやっ〝王齕ぐるり〟や!
そういう発想の流れだったと記憶しています。
冷徹でマシーンのような秦兵の中にあってひときわ熱さの際立つ武将。
老いるほどに尚熱く!俺も大好きな人物です。
5巻26話より
王欣太先生コメント
信陵君と蔡要さん、王齕将軍と范束、盗跖と謀幹さんのコンビがお好き?
思えば、漫画家ゴンタの傍にはいつも軍師・参謀のように編集者が寄り添ってくれていたような気がします。(それでこういうコンビを描きたがるんか、俺は。)
これから信陵君と蔡要さんが大活躍するはずです!
7巻40話より
王欣太先生コメント
「仕事ができるかっこいい男性の横顔が好きで…」
仕事……、確かに白起はものすごく仕事ができた男ですね。命じられた以上の仕事を次々とこなし、ついにはやり過ぎてしまう。(高度プロフェッショナル…)
この人には無駄というものが全くと言っていい程見当たりません。
こんな人の横顔に惹かれてついていってはだめですよ。
間違いなく幸せにはなれません。(あっ司馬靳さん!だめだめ!)
7巻40話より
王欣太先生コメント
このページを選ぶとは、漫画のコマというものを凄くわかってはる人やな――と思います。
タブロー的な静止したものではなく次のコマを呼び込む漫画ならではの絵、これがずーっと、うまーく連なっていけば勝ちなんですよね~。
そういえば かつて漫画の師匠が言うてはりました。「漫画の絵は言語だ」
8巻カバー
王欣太先生コメント
そうでしたか!蒼天航路から老荘思想に興味を抱かれたと。
俺とまったく同じじゃないですか!そう!その流れでの「達人伝」なんです!
国の城内にとどまらないから官位も受けず将にもならない老荘的人物たち。
歴史の裏半分は彼らが作っていたはずだと。
呂不韋は「流氓」的である商人から「紳士」側の頂点に至った希有な人物です。
9巻51話より
王欣太先生コメント
は、范雎!!
この人を選びましたか――!?
もしかして変態ですか!?いや「Heaven」も「地獄の家」も読んでいただいてるとは あなたは途方もない理解者ですか!?しかし 横山先生の「史記」の范雎もお好き…む――やはり変態?
いいえ 冗談です!今のご時勢、他人の評価をまるで気にすることなく、ご自分の好みを明確に提示できるあなたの未来は実に明るい!!
10巻59話より
王欣太先生コメント
11巻61話より
王欣太先生コメント
最初、これを選ぶのか!?と思いましたがプリントアウトしてみておおっ これはなんてお洒落な選択!
普通に飾ればまるで巨匠の水墨画!(言い過ぎです ゴメン…)
でも この大ボラのような気を心に吹かせるというこの境地こそ荘子の真骨頂だと思っています。
「戦は嫌いじゃ」と叫びながら暴れまわる信陵君がたまらなく好きなあなたに幸あれ!!!
11巻61話より
王欣太先生コメント
いくらよくできた解釈を積み上げても面白い漫画にならなかったりするんですよね。(生み出すのは大変な労力が要るんですが)
そして「達人伝」では アウトサイダーの観点を重視しているため史実に対しては、できるだけ脚色を加えずあえて通説に従おうというスタンスでやっています。
でもやる時にはぶちかましますよ――!
そうきたかっ!ってヤツを!!
達人伝の本質を捉えたこの一ページの選択、お見事です!
12巻カバー
王欣太先生コメント
「達人伝」「蒼天航路」話を肴に月一ペースで仕事仲間と飲み会!
いいすっね――――――――っ!!
もし参加できたら、ひとり喋べくりまくりそうな自分がこわいです。滅茶苦茶 迷惑ですもんね――。
この絵は達人伝の表紙で一番時間がかかった絵です。レイアウトにも難儀した記憶があります。「達人伝」もこれからいよいよ佳境!語りがいのある作品に仕上げるつもりです。
14巻より
王欣太先生コメント
おっと!これはまた渋い一枚を選びましたな!
これを一緒に作っていたスタッフ(画家)が「私もこれ欲しい――ッ」って叫んでましたよ!
盗跖、最高ですよね――。
盗跖を描く時に迷いは一切ありません。
というか、盗跖さんに導かれるままに筆を動かしているという気さえします。
散り様もまた、「ここらで死ぬぞ」という導きに従ったようでした。
15巻85話より
王欣太先生コメント
庖丁のこのコマを選びましたか!嬉しいな――。
「荘子」の料理人庖丁のくだりが 表現者として最も惹かれたところであり、「達人伝」を描くきっかけとなった心髄です。そこは何度でも繰り返し語らねばと思うところで、このコマはまさにそれっ!
派手な戦闘シーンでもなく 歴史上の有名人もいないこの一ページを選んでくれて本当に有難とう――!!
15巻89話より
王欣太先生コメント
ご存知の通り白起は人類史上一番多くの殺戮をした将軍です。
この史実に向き合った時、まず単なる最強ではない何かがあると感じたのです。その凶悪極まりない戦績には まさに涼やかと言ってもいい彼の徹底した流儀が存在するはずだと!
それを今 漫画にできる喜びを満喫しつつ絶好調連載中です!
16巻91話より
王欣太先生コメント
この絵を生み出したのは紀昌さんでしたね。
3話目に登場した時から紀昌さんには再登場の機を伺っていました。 そして長平。ここや!と。俗世と距離を置く達人が、その技とともに天空からの視点を提示してみせました。
超絶的な殺戮将軍・白起でも老荘的時空を生きる紀昌たちにとっては俗世に過ぎないと…
中国古代精神の深遠なところです。
16巻95話より
王欣太先生コメント
またしても白起に王齕!
白起が人気なのは仕方なくわかりますが、王齕がここまで奮闘してくれるとは!
やはり20巻の結果でしょうか。
思えばこのシーンがこのふたりの今生の別れ!
19巻で放たれる王齕の白起への思いとそして「これまでだ!」という戦いの人生の締めくくりへと繋がる重要なシーンでもあります。
よくぞ選んでくれました!ありがとう!!
17巻97話より
王欣太先生コメント
項燕ですか!うーむ
秦に抗う上で楚人の武心は欠かせません!
そして彼の生来の荒ぶる魂に加えものすごい勢いで成長を遂げるキャラクター
そして、どこまでいってくれるのか!?
作者の自分も大きく期待してます!
17巻100話より
王欣太先生コメント
そうですか――!
毎回ドキドキしてくれてますか――!?
作者冥利に尽きますね――!
そういう演出を引き出すには あまり先の事を作り込まない、という手を使っています。
次回、どうなるんやろ!?それは作者にもわからん!というやつです。
その時にはわからんでも、次回にそれを一所懸命考え抜いてより面白い答を引きずり出す!
それを必ずやる!そうやって未来の自分に預けてしまうんです。ちょっとしたスリルを乗り越える感じもありますが、人生を楽しく生きる秘けつのようでもありますね。
18巻105話より
王欣太先生コメント
「高貴なるものの責務」を果たさんとする
2人の「紳士」の交錯―――――――
この表現が素晴らしい!!
この漫画で描こうとしている「中国歴史上の二大勢力は「紳士」と「流氓」だ。」という少し難解な概念。
これをよく理解してくださってる!
国会で政治家が交わす言葉が高貴なるものの責務を果たさんとする言葉であってほしいと痛切に願うわけですよ!
19巻114話より
王欣太先生コメント
夜闇の豪壮武将と白昼の最凶将軍。
あらかじめ設定して描いたわけではないのですが19巻のこの頃、このふたりの将軍はきれいな対比を構成しつつ、武人として心を通わせるふたりになりました。ですので王齕の最期は 史実では不明なのですが同じ時期に亡くなってもらいたかったのです…。
19巻114話より
王欣太先生コメント
王齕VS廉頗の見開きですか!最強じいさん対決ですね――!
こういう強者同士の戦いを描く時は先の展開をあえて考えずに描きます。
次のコマどうなるんやー!?って自分もわからん方が絶対におもろい絵やセリフが生まれてくるからなんですよ。
20巻カバー
王欣太先生コメント
信陵君が、自国の将軍の軍を奪って駆けつけるくだりは戦国時代の中でもひときわ痛快なシーンです。
でも、連載準備段階からここは難関中の難関と考えてきました。
「史記」の記述通りに描いても現代のエンターテイメントになりにくい上、脚色を多くし過ぎては、流氓側から戦国時代を描くという「達人伝」の作法とそぐわなくなるからです。
そしていざ百六話、百八話!
懸念は信陵君という人物の魅力がふき飛ばしてくれました!!
20巻108話より
王欣太先生コメント
出た――っ 熱き大画面!
三千決死隊は描きながらどんどん膨らんでいきました!
李談というシニカルに見えて内に熱き心を抱いた人物が牽引してくれたおかげです。
そうか!長平の戦没者名簿を作ってたんか――!!と着想した時にはもうガッツポーズでしたよ!!
20巻120話より
王欣太先生コメント
おお!言われてみれば確かにこのコマはパンクですね!
俺も音楽がずっとすごい好きで 常に新旧様々なジャンルの音楽を楽しんでいます。
「蒼天航路」はベートーベン(なぜか)にエレクトリック・マイルス、そしてジミヘンでした。(呂布の時)
「達人伝」はコルトレーン、カマシ・ワシントンをよく聞きながらネームを切っています。
ジャンルは違えど音楽の持っているグルーブのようなものが 自分のマンガの流れに 自然と影響しているのかもしれませんね。
20巻120話より
王欣太先生コメント
来ました!
荘円の李談 追悼です。このシーンはやばいです。
ネームを書いている時に 頭に自然と荘円の言葉が音楽のように流れ出して、李談を送りました。
そしてこの複製原画にネームを入れながら…
最後の締めまで止まらずつらつらと…
そして、またしても…うるうると…。
盗跖と迷ったんですね。もしかしてあなたは俺とすげえ近い種類の人かもしれない。
20巻120話より
王欣太先生コメント
そうですか、泣いていただけましたか!
三千決死隊を描き始めた時には このコマに到達できるとはまったく想像できませんでした。
描きながら李談という人が作者の想定以上に大きくふくらんでくれたからなんでしょうね。
愛という言葉を ここまで直に謳ったのも漫画人生初めてなので、このページは特に感慨深いものがあります。